外科(消化器外科・乳腺外科)

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外科(消化器外科・乳腺外科)

ご挨拶

当院は大分県北地区の中核病院として、地域医療支援病院やがん連携拠点病院などの機能を果たしており、外科においても地域のかかりつけ医と連携して消化器および乳腺の悪性疾患、胆石症や鼠径ヘルニアなどの良性疾患、また腸閉塞や急性虫垂炎、急性胆嚢炎などの救急疾患の診療を行っています。

2021年4月から是永大輔が事業管理者に、折田博之が院長にそれぞれ就任し、江頭明典(主任外科部長)、内田博喜(部長)、梅田健二(部長)が着任しています。2023年4月からは外科専攻医として伊藤大地、2024年4月からは佐藤雄太が加わり、長く当院の乳腺外科を支えている永松敏子(医長)と共に診療を行なっています。

診療内容

悪性疾患

平成18年6月にがん対策基本法が成立し、「がん対策を総合的かつ計画的に推進する」ことを目標に対策が進められてきました。令和53月に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画では、「がん予防」「がん医療」「がんとの共生」の三つを柱とし施策を実施することで、がん対策の一層の推進を図ることが示されています。当院でもこれらの指針に沿って、がん検診、がんゲノム医療、妊孕性温存、患者支援を考慮しつつがん診療にあたっています。

当院はがん診療連携拠点病院であり、多数の消化器がん・乳がん症例に対して、ガイドラインに基づいた治療を行っています。2人に1人はがんに罹患する時代であり、地域社会の高齢化に伴い当院でも高齢がん患者さんが多くなっています。

がんの診療は患者さんに優しい治療を目指しながら、キャンサーボードを通じて関係各科が連携して治療方針を決定します。例えば、高度進行癌に対しては手術に加え化学療法・放射線療法を含む集学的治療を行い、質の高いがん医療を提供しています。患者さんそれぞれの状態に応じて希望を受け入れながら、安全で安心出来る治療を心がけています。

外科スタッフには消化器外科専門医が4名、内視鏡外科技術認定医が3名常勤し、腹腔鏡手術を主体とした低侵襲な治療を安全に行っており、また化学療法(抗がん剤治療)についても、生活の質向上をめざし外来化学療法を施行しています。

コロナ禍により一時的な減少はありましたが、手術例数および化学療法は例年から大きく減ることなく、診療を行っています。コロナ禍による受診控えや検診数の減少により、進行がんとして発見される症例が増えてきている印象ですが、適切な治療を行うことで患者さんの生活を維持するように心がけています。

  1. 胃がん

    男性では罹患数第2位、死亡数第3位、女性では罹患数第4位、死亡数第5位です(1)。胃カメラによる切除(内視鏡下切除;EMRESD)が可能な早期癌症例の増加もあり、治療成績が向上しています。内視鏡下切除(EMRESD)が可能な症例は限られていますが、そのような患者さんは消化器内科と連携し胃カメラによる切除を行っています。

    一般的には、内視鏡下切除の適応外となるステージ1〜ステージ3症例については手術の適応です。胃癌の発生部位により、幽門側胃切除術、噴門側胃切除術、胃全摘術などを行いますが、多くの症例で腹腔鏡手術を行っています。胃がんに対する外科手術は年間約30例で、胃切除術の80%に腹腔鏡手術を施行しています。

    高度進行癌については、術前に抗癌剤治療(術前補助化学療法)を行い癌の縮小を図ってからの手術を行うことがあります。また手術で肉眼的に確認出来る癌の病巣を切除できた根治切除の症例についても、ステージ23であれば術後再発予防の為の抗癌剤治療を行うことがあります。最近では、免疫チェックポイント阻害薬を加えた化学療法の進歩により、当初は切除不能であった症例についても化学療法後に根治手術(コンバージョン手術)が出来る様な症例もみられています。日本胃癌学会認定施設Bに認定されました。

  2. 大腸がん

    男性では罹患数第3位、死亡数第2位、女性では罹患数第2位、死亡数第1位です(1)。胃がんと同様に、早期症例では大腸カメラによる切除(内視鏡下切除;EMR、ESD)の適応となりますが、その他の症例は手術の適応です。大腸がんの発生部位によって術式が異なりますが、回盲部切除術、右半結腸切除術、横行結腸切除術、左半結腸切除術、S状結腸切除術、直腸切除術など、多くの症例で腹腔鏡手術を行っています。大腸がんに対する外科手術は年間約70例で、90%前後に腹腔鏡手術を施行しています。直腸がん手術では肛門機能を温存し、QOLを保てるよう心がけています。潰瘍性大腸炎に合併した大腸がん患者さんに対する腹腔鏡下大腸全摘術など、高難易度手術にも対応しています。多職種によるチーム医療を充実させ、患者さんに安全で安心出来る質の高い医療を提供するよう心がけています。

  3. 食道がん

    男性では罹患数第7位、死亡数第8位、女性では罹患数第17位、死亡数第16位です(1)

    60〜70歳代の男性に多く、飲酒・喫煙はリスクファクターです。食道がんもごく早期の症例は内視鏡下切除(EMRESD)が可能です。

    その他の症例では手術、もしくは化学放射線療法(抗がん剤と放射線治療)を行います。手術を行う方でも、手術前もしくは手術後に抗がん剤と放射線治療を加える集学的治療により治療成績が向上しています。

    食道がんに対する外科手術は年間約5例ですが、食道外科専門医が診療にあたり、殆どの症例で胸腔鏡および腹腔鏡を用いた食道切除再建術を導入し低侵襲な治療を行っています。高齢で併存症を持つ患者さんには、二期分割手術も行っています。
  4. 肝臓がん

    男性では罹患数第5位、死亡数第5位、女性では罹患数第10位、死亡数第7位です。

    肝臓がんのほとんどは肝細胞癌であり、肝臓の主な細胞である肝細胞から発生したがんです。

    肝細胞がんに対しての治療は肝機能や血管への広がり、個数や大きさに基づいて検討します。治療方法は、外科手術、穿刺局所療法(ラジオ波)、肝動脈塞栓療法、薬物療法などがあります。肝内胆管がんに対しての治療は外科手術、薬物療法とあり、消化器内科、放射線科と連携を取り厳密に治療方法について検討しています。

    外科で行う肝臓の手術は開腹で行う場合と大きな傷が必要になりますが、腹腔鏡手術を行うことで傷を小さくすることが可能です。腹腔鏡による肝臓手術は施設基準を満たす必要がありますが、当院では施設基準を満たしているため高難度の腹腔鏡下肝切除を行うことが可能であり、積極的に行っています。

    すべての肝臓手術を腹腔鏡で行うのがいいというわけではありません。患者さんにとって、開腹手術が適しているのか、腹腔鏡手術が適しているのか、それぞれの患者さんに適した最善の術式を常に考えながら判断しています。

  5. 膵臓がん

    男性では罹患数第6位、死亡数第4位、女性では罹患数第6位、死亡数第3位です。

    膵がんは一般的に膵管がんのこといい、小さいうちから周囲のリンパ節や多臓器に転移することもあります。他に膵管にできる病気として膵管内乳頭粘液性腫瘍がありここから膵臓がんできたり、別の部位に膵臓がんができることがあります。

    膵臓がんではまず手術ができるかどうかを検査して検討し、切除可能である場合は術前抗がん剤治療を行った後、手術を行っています。

    膵臓の手術は膵頭部を中心にがんがある場合は膵頭十二指腸切除術(十二指腸、胆管、胆のうを含めて膵頭部を切除する方法)、膵体部・尾部にある場合は膵体部と尾部、通常は脾臓も切除する膵体尾部切除を行います。手術後は内服による術後補助化学療法を行います。

    手術が困難な場合は抗がん剤治療や放射線療法を組み合わせたりして行います。

    膵がんの治療に対しても消化器内科・放射線科と連携を取り治療にあたっています。

    当院では肝胆膵外科領域の疾患に対して消化器中や放射線科とも連携しあたっています。

    年々、肝臓や膵臓の手術症例は年々増加し2023年に肝胆膵外科学会高度技能修練施設(B)を取得しました。

  6. 乳がん

    女性で罹患数第1位、死亡数第4位です(1)。日本乳癌学会の認定施設であり、乳腺外科専門医により、年間約30例の手術を行っています。手術症例では乳房温存手術を第一選択とし、センチネルリンパ節(見張りリンパ節)生検による術中診断を行った上で、腋窩リンパ節郭清は必要な症例のみに行っています。高齢患者さんも多く、それぞれの患者さんに寄り添いながら、低侵襲、負担が少ない適切な治療を心がけています。

  7. その他

    消化管間葉腫瘍(GIST)や神経内分泌腫瘍(NEC)など

参考文献

  (1) 公益財団法人 がん研究振興財団 「がんの統計 2023


良性疾患

  1. 胆石症に対しての待機手術はほぼ全例で腹腔鏡下手術を行っています。術後は数日(35日)で退院します。
  2. 鼠径ヘルニア(脱腸)に対する手術は、前立腺がんの手術後など一部の患者さんを除いて、殆どを腹腔鏡下手術(TEP)で行っています。術後は数日(24日)で退院します。
  3. 虫垂炎に対しては、殆どの症例で腹腔鏡下手術を行っています。急性虫垂炎に対しては、患者さんの状態に応じて、緊急手術を行う場合と保存的治療(抗生剤点滴)により炎症を改善させた後に待機的手術を行うこともあります。
  4. その他にも、腹壁瘢痕ヘルニアや食道裂孔ヘルニアなどに対して腹腔鏡下手術を行っています。



救急医療

当院は大分県北地区の二次救急を担っており、外科的治療が必要な患者さんも多く受診されます。外科は24時間オンコール体制をとり救急対応を行っています。緊急手術が必要な症例については、麻酔科と連携をとりつつ、当院で対応可能な症例については迅速な治療を行っています。

  1. 急性虫垂
    患者さんの状況に応じて、必要であれば緊急手術を行います。腹腔鏡下虫垂切除術を行うことが多いです。
  2. 急性胆嚢炎
    急性胆嚢炎症例には急性胆管炎・胆のう炎診療ガイドラインに沿って急性期手術に努めると同時に、早期手術ができない症例では消化器内科と連携し、内科的な治療(ERGBD、EST、PTGBD)後の待機的手術を行っています。
  3. イレウス(腸閉塞)
    絞扼を来たし、腸管虚血が疑われる患者さんに対しては緊急手術を行います。症例によっては腹腔鏡手術を行います。また、イレウスチューブによる減圧で改善が期待出来る症例については、手術を行わずに保存的治療を行います。
  4. 消化管穿孔
    胃潰瘍や十二指腸潰瘍穿孔に対しては、腹腔鏡下の緊急手術を行うことが多いです。症例によっては、手術は行わずに保存的治療(絶食・抗生剤投与)で治療します。直腸などの下部消化管穿孔は重症であり、緊急手術が必要です。術後には、人工呼吸器管理や血液透析など集学的治療を行います。
  5. その他
    鼠径ヘルニア嵌頓や閉鎖孔ヘルニア嵌頓などについても緊急手術を行います。

是永 大輔

これなが だいすけ

役職 事業管理者
専門分野
  • 消化器(食道、胃、大腸)、癌化学療法
認定資格
  • 日本外科学会専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本がん治療学会認定医機構がん治療認定医
  • 日本病院総合診療医学会認定病院総合診療医
  • 厚生労働省臨床修練指導医

折田 博之

おりた ひろゆき

役職 院長
専門分野
  • 消化器(食道、胃、大腸)、内視鏡手術、癌化学療法
認定資格
  • 日本外科学会専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本食道学会食道科認定医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定
  • 日本静脈経腸栄養学会認定医
  • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医・暫定教育医
  • 医療安全管理者認定

江頭 明典

えがしら あきのり

役職 主任外科部長
専門分野
  • 消化器(食道・胃・大腸)、内視鏡外科、がん化学療法
認定資格
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医
  • 日本食道学会食道外科専門医
  • 日本消化器病学会消化器病専門医

内田 博喜

うちだ ひろき

役職 外科部長
専門分野
  • 消化器外科(肝胆膵)、内視鏡外科
認定資格
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医
  • 日本肝胆膵外科学会高度技能専門医
  • 日本消化器内視鏡学会専門医

梅田 健二

うめだ けんじ

役職 外科部長
専門分野
  • 消化器外科
認定資格
  • 日本外科学会専門医
  • 日本消化器外科学会専門医

永松 敏子

ながまつ さとこ

役職 医長
専門分野
  • 乳腺外科
認定資格
  • 日本外科学会専門医
  • 乳癌学会専門医

佐藤 雄太

さとう ゆうた

役職 専攻医

永島 翔一朗

ながしま しょういちろう

役職 専攻医

外来担当医表

消化器外科

内田 博喜
佐藤 雄太
江頭 明典
梅田 健二
江頭 明典
内田 博喜
佐藤 雄太
江頭 明典
梅田 健二
内田 博喜

乳腺外科

永松 敏子
(再診のみ)
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